
歩き(ウォーキング)の特徴
- 常にどちらかの足が地面に接している
・ウォーキング(歩行)の定義は、常にどちらかの足が地面に接している状態で移動することにあります。興味深いのは、世界中どの国の言語にも「歩く」と「走る」を区別する言葉が存在し、人々が同じような動作のタイミングで自然にその二つを使い分けている点です。これは、人間の身体感覚の中に「歩く」と「走る」が明確に分離された動作として組み込まれていることを示しています。特に、どちらかの足が常に地面に触れているかどうかは、歩行と走行を区別する最も基本的で普遍的な基準といえます。この違いは文化や言語を超えて共通しており、人類が共有する身体構造と運動原理の表れでもあります。
- 上下動が少なく、エネルギー消費が小さい
・歩く動作は走りに比べて小さく、エネルギー消費も自然と少なくなります。歩行では常にどちらかの脚が地面に接しているため、身体が宙に浮く瞬間はありません。ところが現代人の多くは、地面を強く蹴って前へ身体を押し出すように歩いており、その結果、歩行本来の効率的な動きが損なわれがちです。また、一歩ごとに腰を水平に回転させながら進むため、上半身と下半身のねじれが大きくなり、無意識のうちに余計な力を使っています。本来の歩きは、地面を蹴るのではなく、重心移動によって自然に前へ進む滑らかな運動です。歩行の仕組みを理解し、身体の使い方を見直すことで、負担の少ない本来の歩き方を取り戻すことができます。
- 一番足が開いている瞬間の腰の高さが最も低くなるのが歩き(そうでないのが走り)
・走りの動作では、身体が宙に浮く「浮遊期」が存在し、脚が大きく開いた瞬間には重心である腰の位置が最も高くなります。これは、走りがバネのような反発力を利用して前進する運動であるため、上下動が大きくなることに由来します。一方、歩きには浮遊期がなく、常にどちらかの脚が地面に接しています。脚が最も開いた瞬間に腰の高さが最も低くなるという特徴は、現代人の歩行の特徴です。倒立振り子のように重心を前へ送り出す運動は結局後ろ足でカラダを蹴りだしている事を示しています。この重心軌道の違いこそが、歩きと走りを本質的に分ける決定的なポイントです。走りは跳ねる動き、歩きは揺りかごのような動き。両者の構造を理解することで、現代人の歩き方が効率的でない身体の使い方であることが見えてきます。
走り(ランニング)の特徴
- 両足が同時に地面から離れる“浮遊期”がある
・走りの動作には、身体が宙に浮く「浮遊期」があり、脚が大きく開いた瞬間には重心である腰の位置が最も高くなります。これは歩きとの大きな違いであり、走りが反発力を利用して前進する運動であることを示しています。遊脚が着地した瞬間、地面からの反力が身体に伝わり、そのエネルギーを効率よく利用することでスムーズに前へ進むことができます。したがって、着地の位置は非常に重要で、足は身体の真下に近い位置で接地することが理想的です。前方に着きすぎるとブレーキとなり、反発力を十分に活かせません。走りとは、浮遊期・反発・真下接地が連動することで成立する、バネのような運動です。この仕組みを理解することで、無駄のない効率的な走りが可能になります。
- 上下動が大きく、衝撃が増える
・走りの動作は上下動が大きく、着地時の衝撃も強くなるため、シニア世代の運動としては不利な面が少なくありません。年齢を重ねると関節や筋肉の柔軟性が低下し、衝撃を十分に吸収できなくなることで、どうしても故障のリスクが高まります。もちろん、トレーニングやダイエットを目的とする場合には走りが有効な場面もあります。しかし、シニアの運動の本質的な目的は「一生歩ける身体づくり」であり、速く移動することではありません。身体への負担を抑えながら健康を維持するためには、無理に走るよりも、ゆっくりとした歩行を継続する方が安全で効果的です。歩くことは衝撃が少なく、関節への負担も軽いため、長期的に続けやすい理想的な運動といえます。
- 実は「かかと着地」ではなく、体の真下で足を着く感覚が重要
・走る動作と歩く動作は一般的にはまったく別のものと捉えられていますが、実は“健康的でラクな歩き方”は走りの仕組みと非常に近い動作になります。ポイントは、足を身体の前方へ投げ出して着地するのではなく、常に身体の真下で接地することです。その際、重心をわずかに前へ移動させ、倒れ込む力──つまり重力を利用して前進力へと変換します。この「重心移動+真下接地」という構造は、これまで説明してきたように走りの基本原理そのものです。歩きにこの仕組みを応用することで、無理な筋力や地面を蹴る動作に頼らず、自然で効率的な推進が生まれます。結果として、関節への負担が少なく、長く続けられる理想的な歩行が実現します。
二軸歩行の特徴(従来の歩き・走りとの違い)
- 左右に“2本の軸”を使うことで脚の蹴りださずに効率的な走りができる
・二軸で走るということは、着地脚で地面を強く蹴り出さずとも前進できる走法を意味します。脚が体の真下に接地した瞬間、地面反力をそのまま前方向への推進力へと変換し、軽く“前へ跳ねる”ように進むのが特徴です。この仕組みにより、無理に蹴る動作や過度な筋力に頼る必要がなく、自然な反発を利用した効率的な走りが可能になります。また、真下接地を徹底することで骨盤の水平回転が抑えられ、体幹のブレが少なくなるため、腰や膝などへの負担を大幅に軽減できます。結果として、身体を痛めるリスクを抑えながら、安定して前方向へ進む理想的なランニングフォームが実現します。
- 体のねじれを抑え、故障リスクを低減する走りに
・二軸で走るということは、着地脚で地面を強く蹴り出さなくても前進できる走法を指します。脚が身体の真下に接地した瞬間、地面反力をそのまま推進力へと変換するため、余計な力みや蹴り動作が不要になります。さらに、この推進は地面反力だけで生まれているわけではありません。重心をわずかに前へ送り出し、身体が自然に前へ倒れ込む力──つまり重力──を利用することで、トップランナーたちは一般の人が想像するよりもはるかに少ない負担でスムーズに走っています。真下接地と重力の活用が組み合わさることで、骨盤の過度な回旋や体幹のブレが抑えられ、効率的かつ身体に優しい走りが実現します。
- 実は二軸歩行の動作は走りと非常に似ている
・二軸歩行は、重力と地面反力を活用して前進する点で、ランニングと本質的に共通しています。足を身体の真下に着地させるという基本動作も同じであり、この仕組みが無理のない推進を生み出します。さらに、脚の回転速度をわずかに高めるだけで、歩行から自然にランニングへと移行できるのが二軸歩行の大きな特徴です。つまり、歩きと走りは本来まったく異なる動作ではなく、同じメカニズムの延長線上にある連続的な運動だと言えます。これは、多くの現代日本人が抱く「歩く」と「走る」は別物だという固定観念を大きく揺さぶる重要な視点であり、身体の使い方を根本から見直すきっかけにもなるでしょう。

